2020年10月14日
5000年前の石鹸のレシピ
灰汁とイノシシの脂がいい匂い?
先日、とても面白い番組を観ました。
「所さんの目がテン!」という番組だったのですが、その企画が5000年前のレシピで古代石鹸を作ってみようというものだったのです。
石鹸の誕生は5000年前の古代メソポタミア。
1世紀には古代ローマのプリニウスによって「石鹸は植物の灰とヤギの脂で作る」とレシピが粘土板に書き残されていたそうなのです。
その当時の資料と専門家の助言を手がかりに再現を試みます。
植物の灰が一体石鹸の成分の何になるのだろうとハテナだらけで観ていたのですが・・・。
まずは白樫の薪を30キロ用意。そしてかまどで焼きます。
そして作った灰をふるいにかけてできた重さを量るとなんとたったの150g。
植物は水分と炭素、窒素、少量の金属類から出来ており、木を燃やすと金属類だけが残り灰になるそうです。
そしてその灰を水で煮立たせ、出来上がった液体を30分ほど放置すると透明な上澄みができます。
つまりこれはいわゆる灰汁なのですがこれを取り、布でこして不純物を取り除きました。
そうしてできたのがアルカリ性の液なのです。
続いてイノシシの脂を使います。これもイノシシを捕まえるところからでは気の遠くなる話ですよね。
そこは割愛するとしまして、灰の量に合わせた油を計って鉄なべで溶かします。
カスをこしとって灰汁を煮立たせたところに注ぎ合わせます。
ここで石鹸づくりに一番大切なけん化反応が起こり、石鹸とグリセリンを生成するというわけなのです。
イノシシの脂なんて臭そう・・・と思ったのですが、なんと石鹸のいい匂いだそうで!
その後、いくら火を入れてもなかなか固まらず、過熱をやめて石鹸の能力を持っているか実験することになりました。
(ちなみに動物脂で作る石けんは液体の石けんにしかならないとのことで、固形にするにはさらに消石灰や食塩・水酸化ナトリウムを加える必要があるそうです。)
口紅の汚れを洗う実験を出来上がったもので行うと水で洗い流すのとは違い、しっかり落ちました!
明らかに洗浄力があると認められたのです。
石鹸で油が落ちるのは油脂がけん化して出来た脂肪酸塩にあるのだとか。
文にしてみたらあっという間なのですが、実際に薪を確保、イノシシの脂を入手、そしてかまどまで作って再現されていたので丸3日もかかっていました。
こんな手間暇をかけてこのレシピが5000年前に開発され、洗浄するという文明が生まれていたのは驚きです。
いつの時代も手間を惜しまず開発されるものは受け継がれていくものなのですね。
ちょっと長い話にお付き合いいただきありがとうございました。